「あら?知りませんでしたの…?」


キラ・ヒダカ?


僕が知らない……?


それって……どういう事――――っ!?


「ど」


「貴方の本名は『ヤマト』ではなく『ヒダカ』ですの。
 アスランの事ですから『ヒダカ』の資料は絶対あると思っていました…
 ですが…貴方が『ヒダカ』ならその資料がないのは納得出来ますわ。
 『ヒダカ』という名の持つ貴方を利用して、
 何をする気だったかは知りませんが…
 もう、彼はそんなこと覚えていらっしゃらないでしょうから…ね。
 さぁ、キラ・ヒダカ。此方へ来なさい。
 貴方の遺伝子に組むこまれたデータを見せてください」


…僕の本名?


アスランが僕を………利用?


本当は僕のことなんて…どうでも良かったの…?


「……っ……アスランは…何処?」


「嗚呼…忘れていましたわ。お渡しします」


……アスラン!?


「アッ」


「それはともかく…さぁ…此方へ…」


ドクンッ・・・ドクンッ・・・ドクンッ・・・


「キラ!」


ミリアリアの声が後ろからした。


車に乗るサイもいる。


「のって!アスランも!」


「…アスラン……!……?」


アスランの様子がおかしい。


「アスラン?」


「…」


「嗚呼、それ、最初に言っておきますけれど…
 あのアスラン・ザラはもう、この世には存在しませんわ」


「…どういう」


「だって、記憶が無いんですもの…
 さぁ、キラ・ヒダカ。
 利用した人の事はもう忘れて…此方へ来なさい!」


「駄目よキラ!
 私達の親友を誰が知らない人に渡すもんですか!」


……アスラン……の……記憶。


……そうなんだ。


じゃあ、聞けないんだ……。


でも…。


「御免なさい、ラクスさん。
 僕は『ヒダカ』ではありません。
 『ヤマト』なんです。
 そのヒダカは……僕じゃないです」


迷っても…良い。


ただ、僕の信じる道を進む。


どんなに悪が出来ても…


逃げ出すのは不可能でも…


それでも、支えてくれる、仲間がいるから。


大切な大切な仲間が、友達がいるから。


成長する為に誰かの手が必要で…


今まで僕を育ててくれたのは、隣にいるアスランだから。


無理だって思っても…手を差し伸べてくれたのはアスランだから。


だから、大丈夫。


僕はアスランに恩返ししなくちゃ。


記憶が戻らなくても、全然わかってなくても…


「…さようなら、ラクスさん」


「……!!!」


僕の信じる道を…











<続く>